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ワーク環境
医師が働きやすい環境を制度面から整えていくことも、全社連が課題としていることです。
多様な要因で、医師が本来の医療活動に専念しづらくなっている現状を改善するような環境づくりに積極的に取り組んでいます。また、因習的な制度を継続するのではなく、現場のニーズや時代の流れに応じた制度改革をおこない、実力のある医師がそのキャリアを存分に伸ばしていける制度づくりをしています。
以下に特徴的な活動をご紹介します。
全社連では、ボトムアップ式の組織づくりを実践することで、現場の最前線に立つ医師にとって働きやすい環境づくりを推進しています。全国に51ある社会保険病院は、エリアごとに6ブロックに分かれ、秋に年1度の定例会を開催しています。
そこで前年の事業報告および翌年の事業計画の策定をおこない、年度末近い2月に全国の病院の管理者が一堂に集まる全体会議の場で、翌年度の事業計画にまとめられます。
こうした体制により、全社連の方針は本部からのトップダウンではなく、現場からの意見を吸い上げる形で決定され、事業計画の策定はもとより、研修プログラムの制作や実施、院長人事に至るまで幅広い分野で現場の状況が反映される仕組みになっています。
たとえば研修に関しては、医師たちが本当に必要としている要素を研修内容として盛り込み、医師だけでなく看護師をはじめとしたスタッフに対しても多種多様な研修を実施することで組織力を高め、全体で医師の仕事や働きやすさをバックアップする体制となっています。
また、院長人事に関しても経営手腕など実力を重視。平等にチャンスを与えることで、医師のキャリアアップの意欲喚起にもつながっています。

医師の業務が多忙を極め、危機的な状況が懸念されている要因のひとつに、インフォームドコンセントや各種の書類作成に要する業務量の多さが挙げられています。そういった業務を代替化し、医師の負担を軽減できないか、ということが全社連の大きな課題のひとつとなっています。
そこで社会保険病院グループの実態を独自で調査し、収集データを中央社会保険医療協議会に提出する取り組みを実施。医療クラークが診療報酬として認められる流れを作り出し、グループ内の約10の病院では実際に医療クラークの採用・育成を開始しています。
現在、診断書作成の一部補助など、医療クラークが担っている業務内容は各病院でさまざまであり、医療クラークの導入が即、医師の業務軽減に繋がっているということではありません。また、医師と共に勤務する看護師に対する医療クラークのサポート業務などの課題も残っています。
しかしながら、こうした院内育成の取り組みを継続していくことで、将来的には医師および看護師の業務負担軽減に繋がり、本来の診療業務に専念できる体制作りが実現できるものと大きな期待が寄せられています。

看護師やコメディカルといった医療有資格者と並び、メディエーターも医師をサポートする欠かせない存在となりつつあります。全社連では、既にメディエーターの養成を行なっており、今後さらに拡大していくこととしています。
患者・家族と医療者の間に立ち、有害事象発生の際に双方が対話によって解決に向かって行く、その手助けを行うのがメディエーターの役割です。患者・家族と医療者双方の思いを引き出し、解決への糸口を見出していくためには、人との対話を重視したメディエーション技法の習得が不可欠です。全社連では、年に4回日本医療メディエーター協会の研修プログラムに従った養成研修を実施しています。
メディエーションスキルは短期間で身につくようなものではなく、実際にメディエーターの役割を担っているのはまだ数名という現状です。全社連では、病院職員の全てがメディエーターという目標のもと、今後も養成研修を継続することとしています。こうした環境は、医師が安心して医療行為に取り組むことに大いに役立つと期待されています。

全社連が作成した「医療有害事象・対応指針」は、医療安全における社会保険病院グループ全体の取り組みとして注目されている活動のひとつです。
本指針は、東京大学の医療政策人材養成講座(HSP)有志がまとめられた米国ハーバード大学医学部関連病院の医療事故対応指針〔When Things Go Wrong〕 Responding To Adverse Eventの日本語版がきっかけで、「医療は安全を目指さなければならない」「医療は患者本位でなければならない」という基本理念に共感し、日本の現状に適した形でとりまとめました。
職員全員の意識の向上を目的にポケット版を作成し、社会保険病院の全職員のほか、依頼のあった病院団体や個別医療機関にも配付しています。また、患者団体や医療の質・安全学会にも本指針を提供しており、医療界の中に「真実説明に基づく安全文化」が広がっていくよう活動しています。
研修においては、「医療安全管理者養成研修」「医療安全管理者研修」等を行なっており、こうした医療安全への全体的な取り組みは、患者様・医師双方が安心できる医療行為を実現するための礎となっています。




