医師のワークスタイル

地域医療充実の一手「医学部地域枠」とは?

地方の街並み

医師の都市部への一極集中によって、地方の医療体制が崩壊することが懸念されています。2018年に予定される新専門医制度の開始によって、都市部の医師偏在がさらに促進するとも予想されています。
地方医療を充実させる施策の一つである「医学部の地域枠入試制度」について解説します。

医学部の地域枠入試制度とは?

医学部の地域枠入試制度とは、地方の医師不足や診療科による医師の偏在を解消することを目的に、大学医学部が実施している推薦入試制度のことです。国公立や私立など大学の種別にかかわらず実施され、地域枠推薦を受ける条件は異なっています。

一例として、東京都地域枠の入試を行う順天堂大学の地域枠入学試験の概要は以下の通りです(2017年度のデータ)。

■出願時に下記のいずれかの条件を満たす者
1. 都内在住で高等学校等(※1)を卒業した者および2017年3月卒業見込みの者
2. 都内高等学校等(※1)を卒業した者および2017年3月卒業見込みの者

■本学(順天堂大学)に入学しようとする意志を有し、合格した際に入学を確約できる者

■医師免許取得後、直ちに、東京都内の地域で、小児医療、周産期医療、救急医療、へき地医療を担う医療機関において、大学在学期間(休学や留年等により奨学金の貸与を受けなかった期間を除く)の1.5倍の期間、医師として従事しようとする意思があること

東京地域枠入学試験の合格者は、どのような理由があっても入学を辞退することはできません。
医学部の大学在学期間の1.5倍にあたる9年間のうち、東京都が指定する医療機関に2分の1以上の勤務し、残りの期間を条件に該当する医療機関で勤務することにより奨学金返済を全額免除されます。

東京都地域枠入学試験の場合、「修学費」として入学金、6年間の授業料・施設設備費・教育充実費の全額、「生活費」として月額10万円を大学入学から卒業まで貸与されます。

順天堂大学の場合、6年間にかかる学費2080万円と6年分の生活費720万円が貸与されます。

ただし、退学や就学の継続ができなくなったとき、医学部卒業から2年が経過するまでの間に医師国家試験に合格しなかった場合、提示されている条件の施設において医師業務に従事しなかった時は利子を含めて返還する必要があります。

これは順天堂大学及び東京都地域枠入学試験の例ですが、各地域とも条件はほぼ同様です。

地域枠入学試験を実施している大学は?

▼地域枠入学試験を実施している大学
[北海道・東北地区]
旭川医科大学、札幌医科大学、弘前大学、岩手医科大学、東北大学、秋田大学、山形大学、福島県立医科大学

[関東・甲信越地区]
筑波大学、獨協医科大学、群馬大学、埼玉医科大学、杏林大学、順天堂大学、帝京大学、東京医科大学、東京慈恵会医科大学、東邦大学、日本医科大学、北里大学、東海大学、横浜市立大学、新潟大学、山梨大学、信州大学

[東海・北陸地区]
富山大学、金沢大学、岐阜大学、藤田保健衛生大学、愛知医科大学、名古屋大学、名古屋市立大学、三重大学、福井大学

[関西地区]
滋賀医科大学、京都府立医科大学、関西医科大学、近畿大学、大阪医科大学、神戸大学、兵庫医科大学、奈良県立医科大学、和歌山県立医科大学

[中国・四国地区]
鳥取大学、島根大学、川崎医科大学、岡山大学、広島大学、山口大学、徳島大学、香川大学、愛媛大学、高知大学

[九州・沖縄地区]
産業医科大学、久留米大学、福岡大学、佐賀大学、長崎大学、熊本大学、大分大学、宮崎大学、鹿児島大学、琉球大学

医学部地域枠入試制度は国公立や私立など大学の種別にかかわらず、全国60を超える大学で実施されています。

地域枠入学試験を実施している大学

医学部地域入試制度は一般入試に比べて難易度が低い傾向にあり、奨学金の貸与など金銭面で有利な条件が多々あります。

一方で勤務する地域や医療機関、診療科などに制限があります。地域による医師偏在を解消して地域医療に貢献したいというモチベーションを持つ医学部志望者におすすめの制度です。

最終更新(2016/09/23)

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