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赤ひげ先生インタビュー<br /> 成相 昭吉先生

島根県立中央病院 成相 昭吉先生

横浜からの帰郷を『赤ひげバンク』がサポート
全国で一番小児科医が少ない県の「最後の砦」として
患者さんと向き合い、やりがいを感じる日々
<略歴>

島根県出雲市出身。1984年島根医科大学卒業後、国立岡山病院小児医療センターで初期臨床研修を、神奈川県立こども医療センター内分泌代謝科で研修を行い、1989年に横浜南共済病院小児科に入職。
専門は小児市中感染症、小児心身医学、小児保健、小児内分泌。2016年に島根県立中央病院小児科部長として赴任し、現在は横浜市大医学部小児科臨床教授、島根⼤学医学部⼩児科臨床教授として、また、日本小児科学会専門医試験運営委員、日本小児感染症学会理事・研究委員、日本外来小児科学会学会誌編集委員としても活躍する。

横浜の二次医療圏から
「島根の砦、新生児の砦、周産期医療の砦」へ

島根医科大学を卒業後、岡山、神奈川で臨床研修を行い、横浜南共済病院に入職しました。赤ひげバンクに登録したのは2008年のこと。出身地の島根に馴染みがあって登録はしたものの、その当時はまだ島根県に戻って医師をするとは思っていませんでした。それでも定期的に届く島根県内の求人情報などは、医師数が多くない中で努力する様子が伝わり、お便りの温かい雰囲気も感じていました。とはいっても、私が赤ひげバンクに直接連絡したのは、それから随分経ってからです。

きっかけは4、5年前のことです。島根大学医学部小児科の前教授や学会で会った尊敬する先生から、“島根に帰らないか”と誘いを受けました。誘いを受けた時は即答できず、すぐに島根県に帰るつもりもありませんでした。しかし同じころ私の母の具合があまり良くないということを知り、改めて島根県に帰ることを考えたのです。

とはいっても、これまで働いていた横浜エリアは病院が多く、それぞれの病院の役割がきっちり決まっていました。私がいた病院は二次医療が中心。しかし島根県立中央病院は「島根の砦、新生児の砦、周産期医療の砦」といわれる病院。私でやっていけるのか心配だったので、まずは一般病床と新生児病床を見学させてもらい、ようやく島根への帰郷を決心したのです。

「いつか」島根県に戻ってくるときに
『赤ひげバンク』が必ず力になってくれる

赤ひげバンクにお世話になったのはここからです。登録してから6年が経っていました。連絡し事情を話すと、とても親切に対応していただきました。いろいろなことを教えてもらい、赴任に向けての打ち合わせや居住環境の視察などで東京と出雲を往復する際の交通費支援もいただき、とても感謝しています。暮らすための準備だけでも、かなりの支援をいただきました。今思えば、あのとき赤ひげバンクに登録したのは、「自分の中でいつか島根にかかわることが出てくるかもしれない」という思いが、気づかないうちに心の中にあったからなのでしょう。島根県出身の先生なら、今は必要がなかったとしても赤ひげバンクを通じて島根と繋がっておくのが良いと思います。いつか何らかの事情で「島根に戻ってこよう」と思ったときに、必ず力になってくれるはずです。

トップダウンからボトムアップへ 小児科医療を変えた1年

島根県は全国で一番小児科医が少ない県です。小児科は通常、時間外の診療が圧倒的に多いのですが、小児科医が少ないために患者さんは紹介状を持って救急救命センターへ行くことになり、小児科医はファーストタッチをしないことが多いのです。

「トップダウン」「ボトムアップ」という言葉がありますが、小児医療の現場ではまずは臨床的診断を付けることから始まり、その裏付けとして検査をし、確実なものにしていくボトムアップが基本です。しかし、ここではトップダウンが基本になっていました。これはよくないことです。臨床研修を終えた若い人たちが巣立っていくときに、標準的な診療の知識を持てなくなってしまいます。⼩児科医の関与しないところで標準と異なるものがあったかもしれません。そこで、これを正しく教育することを使命に感じました。ファーストタッチを担当する初期研修医や救急科・総合診療科の先⽣のため何より患者さんのためです。トップダウンからボトムアップに変えるのに1年かかりましたが、これだけでも私が島根に帰ってきた意味があると思っています。

都心にはない島根ならではのやりがい
患者さんと濃密な接点を持ち、勉強できて、課題も見つかる場所

横浜では50本の原著論文を書き、全国で150回以上の講演をさせていただきました。より良い診療をするためにも、若い先生たちの教育のためにも、時間のある限り臨床研究をし、結果を学会発表し論文にまとめるように努めていました。しかし、島根に帰ってからは横浜時代以上に勉強をしています(笑)。そして、アウトプットも⼤切です。去年は出雲市の夜間休日診療所を担当する小児科・内科の先生の前で講義をしました。また出雲の小児科医会がきっかけで、勉強会を開催。その情報はメーリングリストで流しましたが、反響がとても大きかったです。島根県は小児科医が少ない分、情報は共有しやすいし、共有することで県全体の小児科医療のレベルアップにつながります。

さらに島根県は感染症の多いエリア。病院数が多くないので、患者さんも多く集まり、結果としてたくさんの症例を診ることができます。患者さんとも接点が濃密にあり、これは医師として願ってもないことです。

ここは全国で一番小児科医が少ない県で、一番勉強できる場所であるとともに、新たにここでやらなくてはいけない課題も見つかる場所です。赤ひげバンクから送られてくるお便りは、見ているだけで島根県の情報を伺うことができます。私の経験から島根県出身者はもちろん、それ以外のドクターも島根県との繋がりを持たれることをおすすめします。島根県ならではの地域医療の現場で、ぜひ医師のキャリアを積んでほしいと思います。

取材・撮影日2017年7月

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