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旭川医科大学病院 外科学講座 心臓大血管外科学分野

旭川医科大学病院

旭川医科大学病院では、高度かつ質の高い先進医療を地域に提供すると共に、医療人の教育にも力を注ぎ、最高水準の教育・研修体制の機会を提供しています。次代の医療を担い、国内だけではなく国際的にも活躍できる医療人を育成するために海外留学を推奨し、多くの医師が海外留学を経験しています。
そこで今回は、10年間という長きにわたってドイツで臨床経験を積んだ、旭川医科大学病院 心臓大血管外科学分野の教授である紙谷 寛之先生に、ドイツ留学の特徴や留学に必要なスキル、医局員の海外留学などについてお話を伺いました。

<お話を伺った先生>

紙谷 寛之先生

紙谷 寛之(かみや・ひろゆき)
旭川医科大学病院 外科学講座 心臓大血管外科学分野 教授
旭川医科大学病院 心臓外科 科長

[プロフィール]
1997年北海道大学医学部卒
同年金沢大学医学部 第一外科入局
2003年ハノーバー医科大学
2006年金沢大学 心肺総合外科
同年ハイデルベルグ大学
2009年イエナ大学
同年デュッセルドルフ大学
2014年旭川医科大学病院(現職)

専門分野:心臓外科(成人心臓大血管手術全般、特に低侵襲心臓手術、胸部大動脈外科および重症心不全に対する外科治療)
資格・所属:博士(医学)/心臓血管外科 専門医/心臓血管外科 修練指導医/日本心臓血管外科学会 評議員/日本血管外科学会 評議員


Q:紙谷先生のご経歴(留学経験)について教えてください

A:1997年に北海道大学医学部を卒業後、金沢大学医学部附属病院などで心臓血管外科医としての修練を積み、2003年ドイツのハノーバー医科大学へクリニカルフェローとして留学しました。2006年に金沢大学に戻り、同年に再びドイツ留学をして、ハイデルベルグ大学ではスタッフドクターとなりドイツ心臓外科専門医を取得しました。その後、イエナ大学では指導医として、そしてデュッセルドルフ大学では上席指導医兼准教授として勤務し、2012年にはドイツ医師国家資格を取得しました。2014年3月より、旭川医科大学病院 心臓大血管外科学分野の教授として着任し、現在に至ります。

ハイデルベルグ大学Lichtenberg研究室のメンバーとの写真
2007年 ハイデルベルグ大学Lichtenberg研究室のメンバーとの写真。実験棟の屋上


Q:ドイツに留学をした理由を教えてください
マジョルカ島を訪れたときの写真
2004年 ハノーバー医科大学のみんなと医局遠足でマジョルカ島を訪れたときの写真

A:ドイツでは、たとえば最先端医療であるTAVI(経カテーテル的大動脈弁植え込み術)などに使用する人工弁やカテーテルなどのデバイスの入荷や臨床応用が早く、循環器領域における医療は、ヨーロッパのなかでもドイツが最も先進的な国であり、循環器領域の海外留学先はドイツが主流となっています。

特に循環器内科分野では新たなデバイスがどんどん登場しており、ドイツへ数年留学し、最先端の知識や技術を学んで日本の循環器内科分野に活かすなど、循環器領域におけるドイツ留学の価値は非常に大きいと思います。

私の場合、周囲に臨床留学をしていた医師が多かったことで海外留学に興味を持ち、最初に留学をしたドイツのハノーバー医科大学は金沢大学時代の教授の紹介によるものでした。帰国後、一旦、金沢大学に戻りましたが、ハノーバー医科大学でお世話になったドイツ人医師の教授からスカウトされ、再びドイツに留学し、ハイデルベルグ大学に勤務しました。その後のイエナ大学やデュッセルドルフ大学への赴任もドイツ人医師との繋がりによるものです。

マジョルカ島を訪れたときの写真
2004年 ハノーバー医科大学のみんなと医局遠足でマジョルカ島を訪れたときの写真

Q:ドイツへの臨床留学に必要なスキルなどについて教えてください
ドイツ胸部心臓血管外科学会にて
2008年 ドイツ胸部心臓血管外科学会にて。Lichtenberg研究室のメンバーと

A:ドイツで臨床を行なうには医師としての労働許可が必要であり、その取得には州ごとに定められた条件をクリアする必要があります。ドイツは連邦国家であり、各州がそれぞれに大きな権限をもっているため、労働許可を取得できる条件は州によって異なることが特徴です。

条件としては、やはりドイツ語の習得が必要であり、私の場合、留学して最初の4カ月間は語学研修としてドイツ語をひたすら勉強しました。当時、ドイツへの臨床留学にはドイツ語の習得は特に問われませんでしたが、2012年から最低条件として、ドイツ語検定試験のB2(ヨーロッパ言語共通参照枠にもとづく6段階の共通評価レベルで、B2は上から3番目にあたるレベルに相当)以上に合格することが必須となっています。いずれにしてもドイツ語における高い語学力がなければ、スタッフ間とのコミュニケーションはもちろん、患者やその家族への説明時などに大きな支障となり、臨床現場で仕事をすることは非常に困難です。ドイツだけではなく、他国への留学に際しても、現地の語学力は必須と言えます。
さらに州の労働条件を満たしていても、その州が医師過剰の状況であれば労働許可が下りない事もあるため注意が必要です。私の場合、旧東ドイツの地域では労働許可をもらうことはすごく簡単でしたが、デュッセドルフ大学のあるノルトライン・ウェストファーレン州は医師過剰の地域であったため、労働許可の取得が非常に厳しく、主任教授が州に手紙を送って労働許可を特別に与えてもらいました。

またドイツでは人権意識が非常に高いことが特徴で、現在は無給の留学生は受け入れていません。よってドイツへの留学には奨学金の取得が必須と言えます。日本にはいくつかの奨学金がありますが、いずれも公募になるため奨学金の支給には論文などの実績が必要です。ドイツ留学を目指すのであれば早い段階から論文などの実績を積んでおくといいでしょう。

ドイツ胸部心臓血管外科学会にて
2008年 ドイツ胸部心臓血管外科学会にて。Lichtenberg研究室のメンバーと

Q:ドイツ語の勉強方法について教えてください

A:留学前はほとんどドイツ語を話すことはできませんでしたが、私の場合、ドイツ学術交流会(DAAD)による国費留学生であったため、ドイツ語のレベルに応じて2ヵ月から6カ月間、留学に入る前に無料の語学研修を受けることができました。ドイツに渡って最初の4カ月間(ハノーバー医科大学に赴任する前の6月から9月まで)に集中して語学研修を受けたことで、ドイツ語をそれなりに話せるようになりました。

ドイツ国内にはゲーテ・インスティトゥートというドイツの詩人ゲーテを記念した外国人向けのドイツ語教育を推進する語学学校も多く開設しており、日本国内では東京、大阪、京都にもあるので、ドイツ留学を考えている方はこうしたドイツ語学校を受講するといいでしょう。
ドイツ語の上達には、ドイツ語による積極的なコミュニケーションが最も効果的です。私の場合はまず単身でドイツ留学したことで、日本語を話す機会をなくし、必然とドイツ語を話さざるを得ない環境に身を置いたこともドイツ語の習得に大いに役立ちました。

▼ゲーテ・インスティトゥート
https://www.goethe.de/de/wwt.html

Q:ドイツ時代の生活と給与について教えてください
左から私、Akiyari教授、Albert教授、Lichtenberg教授
2009年 デュッセルドルフ大学にて。左から私、Akiyari教授、Albert教授、Lichtenberg教授

A:留学前に貯金もしていましたし、奨学金もあったので生活に困ることはありませんでした。家族もドイツに帯同し、イエナ大学に勤務しているときだけ単身赴任をしていました。ドイツに滞在している日本人も多く、ノルトライン・ウェストファーレン州の州都デュッセドルフには日本企業も多いため、邦人が多く住み(約7,000人)、また日本人学校もあるなど、ドイツは生活しやすい環境が整っています。

給与についてですが、ボーナスはなく、時間外手当などさまざまな諸手当は付きました。ちなみに、上席指導医兼准教授であったデュッセルドルフ大学での年収は約1,800万円でした。ドイツは所得税が日本よりも高く(約40%)、ひと月の給与で換算すると、税金を引いた手取りで7,000~8,000ユーロでした。

左から私、Akiyari教授、Albert教授、Lichtenberg教授
2009年 デュッセルドルフ大学にて。左から私、Akiyari教授、Albert教授、Lichtenberg教授

Q:「旭川医科大学病院」(心臓外科)における海外留学支援や医局の特徴について教えてください

A:短期間であっても海外留学をして異なる医療文化に接することは、その後の医師人生にとって大きな意味を持つことになります。旭川医科大学病院では海外留学を推奨しており、医局としても行きたい人には全員行ってもらいたいという考えで、多くの医師が海外への留学を経験しています。

臨床留学に関してですが、私がドイツに留学していた時代は症例を多く経験することができましたが、現在のドイツでは状況が異なっています。どこでも手術の順番待ちがあり、なかなか手技を経験することができない状況にあるため、海外留学希望者には時間の無駄にならないよう研究留学で行くことを勧めています。たとえば、当医局からドイツのデュッセドルフ大学に留学した医師は、2年間の研究留学のうち、最後の3カ月間は臨床を見学して帰国しました。今後は臨床経験を多く積むことを目的に、東南アジア地域における留学のコネクションをつくっていきたいとも考えています。

2012年 福岡で行われた日本胸部外科学会に参加した際に、大阪に立ち寄った時の写真。左から私、Akhyari教授、宗像先生
2012年 福岡で行われた日本胸部外科学会に参加した際に、大阪に立ち寄った時の写真。左から私、Akhyari教授、宗像先生

さらに、医局員には国際学会への参加など、短期間でも海外経験することを勧めています。最近では医局員がフランスやイタリアのミランで開催される学会へ参加しています。
当院の心臓外科には現在7名の医師が在籍し、若い医師が多いのが特徴です。医局運営は苦楽を共にする方針であり、教授である私自身も当直を行っています。手技も多く経験することができ、給与の満足度も高く、有給休暇は最低でも7割は必ず取得できる体制で、心臓外科医として成長できる環境であることはもちろん、働きやすさも大きな自慢です。

医局員は常に募集しており、留学前に経験を積みたい方など短期間のアルバイトでも歓迎しています。たとえば、現在、アメリカで心臓外科医として働いている慶応大学病院の心臓血管外科出身である北原大翔医師も、留学前に当院の心臓外科にて多くの手技を経験し有意義な研修を積んでいただきました。そのときの感想などは「週刊北原」というアメリカ留学体験記にも紹介されているので、ぜひ読んでみてください。

▼「週刊北原」vol.2 ー僕の自己紹介(後編)ー
https://www.medi-gate.jp/selection/shukan-kitahara02/

私は「日々、おもしろく、しかし真面目に頑張ること」、そして「自分と関わった人間は幸せにする義務がある」ということをモットーにしています。医師のみなさんには楽しく働いていただきながら、心臓外科医として偏差値55までは必ず引き上げ、偏差値70、80までは自らの力で羽ばたくことができる、その確かな基礎となる強い翼を授けることを約束します。
心臓外科医という仕事を楽しみながら、世界トップレベルの心臓外科治療の実現に向かって共に大きく羽ばたいていきましょう。

書初め

旭川医科大学病院
<お問い合わせ>
ドイツ留学および海外留学にご興味のある方は下記URLより、お問い合わせください。

https://www.asahikawa-med-surgery.jp/
〒078-8510
北海道旭川市緑が丘東2条1丁目1番1号
TEL: 0166-65-2111(代表)


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