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しまね医療情報ネットワーク「まめネット」とは?

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共通のプラットフォームで全県カバー
地域包括ケアの強力な武器に

地域包括ケアを推し進める強力なツールとして島根県が構築・運用している、しまね医療情報ネットワーク「まめネット」。今、全国の医療関係者から注目を集めている。医師会主導の地域連携システムとは異なり、県が中心となって情報インフラの整備を担い、その上に選択制で各サービスが提供される点に特色がある。全県統一の運用を行い、共通のプラットフォームで病診連携から在宅情報共有まで幅広く支援し、利用者の同意取得方法にも工夫を凝らしたまめネットについて、島根県立中央病院病院長の小阪真二氏らに話を伺った。

カルテ情報提供病院32

聞き手/ドクターズマガジン編集部 文/横井 かずえ 撮影/伊東 昌信


2025年問題に既に直面
県が中心となって構築

2011年からスタートした、しまね医療情報ネットワーク「まめネット」。
その前身は2000年、離島の隠岐島の遠隔画像診断を目的に立ち上げた「医療ネットしまね」にさかのぼる。その後、病診連携や感染症サーベイランスなどいくつもの実証実験を重ねるうちに県と県医師会の連携が強固になり、その後の改組を経て、現在の全県版医療情報ネットワークが誕生した。

県を挙げて取り組む最大の理由は島根県の高齢化率。『高齢社会白書』(2014年)によれば、設立当時、県の高齢化率は31・8%という高さ。全国平均を5%以上上回り、2025年問題が既に現実のものとなっていた。

こうした状況の中、島根県は地域医療、在宅ケアの質をいかに担保するかという課題を解決するために、早期から地域ネットワークの構築を進めてきた。他県の医療情報ネットワークのほとんどが、自治体の関与は補助金がメインという中で、島根県は全県統一の運用を目指し、県が主導して企画段階から医師会と協力して動いてきた。

県の地域医療支援会議のIT専門部会で方針を決定し、運用はNPO法人しまね医療情報ネットワーク協会が担っているが、県はIT専門部会の事務局としてだけでなく、NPOと共に直接活動もする。


基本サービス以外は利用者から費用を徴収する

「まめネット」のサービス構成

「医療情報のインフラ基盤は県が整備すべき」との理念から、ネットワーク基盤と基本サービスは県が構築し、運営・保守を行っている。それ以外の連携アプリケーションサービスは、サービス提供者が構築し、それぞれのサービス利用者から費用を徴収する(上図参照)。利用する現場の発想でサービスを作ることで、個々に収支を取りつつ経営するというのが発想の根底にある。

料金は病床数などによって傾斜配分され、大規模病院は利用料が高く、小規模事業者の負担は軽い。これは診療所や訪問看護ステーション、療養型病院、薬局、介護事業所などの参加を促すためで、こうした事業者は月々数千円程度の負担でサービスを利用することも可能だ。

提供サービスは診療録の共有化にとどまらず、内容は多彩で種類も多く、カルテ連携の他に、画像中継・画像診断、診療及び検査予約、健診情報管理、在宅ケア支援、調剤情報管理などがある。在宅ケア支援には市町村からの介護認定情報も含まれており、こうした市町村との連携も特徴の一つだ。


2段階の同意取得制
加入率は全国トップクラス

「まめネット」の基本的考え方

「診療情報は患者のもの」という理念から、同意取得については2段階制を取っている。

まめネットへの参加意思が、第1段階の同意である。同意するとカードが発行され、まめネットの患者IDと施設の患者IDがひも付けされ、医療機関の電子カルテ情報の一部がまめネット上で一元管理・収集される。

第2段階で、自身の情報を閲覧してよい医療機関を患者が選ぶ。例えばかかりつけ医以外が患者情報を閲覧するには、患者がそれに同意していなくてはならない。

また、実際には出雲医療圏を中心に始められたが、全県にネットワークを張り巡らすことを前提に設計されたこともあり、加入率は高い。まめネットへの接続機関数は786件(2017年6月末時点)で県内の病院の約8割、診療所の約半数が加入している。カードの発行枚数は3万8826枚(同)で、全住民の5・7%をカバーする。住民の加入促進が難しい中、5%というのは全国的に見てもトップクラスである。

また、薬局、訪問看護ステーション、介護サービス事業所からも合計700枚以上のカードが発行されている。

島根県立中央病院 病院長 小阪真二氏
島根県立中央病院 病院長 小阪真二氏

島根県立中央病院病院長でNPO法人しまね医療情報ネットワーク協会理事の小阪真二氏は「現場の職員が病院、診療所に対して診療情報を共有するように主体的に働きかけていることの表れ」として、地域包括ケア構築に向けた好循環が生まれていると考えている。


病院ごとの温度差をどう解消するかが課題

今後は病院ごとに情報の提供量に差がある点を解消するのが課題だ。現在は積極的に全ての情報を提供する病院もあれば、限られた項目のみ提供する病院もありさまざま。

小阪氏は「どんどん情報を出してくれる病院の周辺地域では、地域包括ケアがうまくいっています。情報提供に関する温度差をいかにして縮めるかが課題でしょう」と語る。同時に、病診連携の推進や同意取得数をさらに増やしていくことも必要だ。

「まめ」というのは島根県の方言で、「元気」を意味する言葉。技術が活かされるのは、その上に成り立つ人と人との絆があってこそ。そうした絆をつなぐ島根発のまめネット構想が全国へ広がったとき、地域が一体となって患者を支える地域包括ケアシステムの成功が近づくのかもしれない。

※こちらの記事は、ドクターズマガジン2017年10月号から転載しています。

まめネットに関するご質問・お問い合わせは〒693-0023 島根県出雲市塩治有原町2-19-3
NPO法人しまね医療情報ネットワーク協会
TEL:0853-22-8058
FAX:0853-22-8099
http://www.shimane-inet.jp


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