医師のワークスタイル

しまね医療情報ネットワーク「まめネット」の活用事例

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聞き手/ドクターズマガジン編集部 文/横井 かずえ 撮影/伊東 昌信


まめネットを使って紹介すると診療と検査が同じ日に行える

実際の運用をみてみよう。厚生労働省が進めている地域包括ケアシステムを円滑に進めるためには、地域でチームを組んで連携することが求められているが、まめネットはまさにそれを先取りしたシステムといえる。

「まめネットを介した地域連携は、地域包括ケアシステムの中で、多職種が正確な情報を確認するためには欠かせません」

島根県立中央病院 総合診療科部長 今田敏宏氏
島根県立中央病院 総合診療科部長 今田敏宏氏

こう語るのは、島根県立中央病院の総合診療科部長で緩和ケアチームリーダー・地域医療連携センター長補佐を務める今田敏宏氏。その一つが、診療所や市中病院から県立中央病院への診療予約と検査予約への活用だ。

県立中央病院では年間2000件を超える診療予約、1000通を超える紹介状が、まめネットを通して行われている。そのうちの200通は日本医師会医師資格証を用いた電子認証付である。

通常、紹介状は患者が紙で持参し診察室で医師がその内容を初めて知るケースがほとんどだ。検査の予約は、患者が実際に来てから判断するしかない。しかし、まめネット経由では、事前に患者情報を知ることができるので、来院と同時に検査も可能で、タイムロスを防ぐ効果は大きい。

また、まめネットで診療所から直接、県立中央病院に検査予約を入れることができ、診療所から同病院へのCT・MRIの検査予約は、全体のほぼ半数がまめネット経由だ。

「全県から患者さんが来られ、中には遠方の方もいます。まめネットを使うと、来院回数や時間を減らすことができるメリットは大きいですね」

<現場レポート>
一つのシステムであることの強み 在宅医療の必須アイテムに

出雲市内にある「すぎうら医院」では、まめネットにも開始当初から深く関わっている。

「当院で診ているがん患者さんですが、1 ヶ月ごとに当院に薬をもらいに通院して、6ヶ月ごとに県立中央病院で検査を受けています。がんの治療パスというのがあるのですが、まめネットでは、その流れが一つのシートになっていて、当院も県立中央病院も患者さんの状況が一目で分かるのです」

また2013年から在宅診療部を開設し、力を入れている在宅医療にも、まめネットが役立っている。

「例えば、訪問看護師が症状を書き込んでくれたら、私が往診して検査指示を出し、結果が出るといった情報が全て、双方で共有できます。理学療法士がリハビリの様子を動画でアップする、管理栄養士が食事のチェックをして書き込む。VPNだからできるのですが、在宅医療の武器になりますね」

カンファレンスや訪問診療でまめネットを利用
カンファレンスや訪問診療でまめネットを利用


在宅でのチーム医療の質向上
PCAポンプ普及に一役

地域包括ケアシステムの構築で、医療機関の機能分化が進んでいくが、まめネットで、診療前だけでなく退院後の病診連携もスムーズになっている。

病院で行った退院前カンファレンスやカルテなどの内容を、受け入れる診療所の医師、訪問看護師、ケアマネジャーなどがあらかじめ確認ができる。入院チームと在宅チームの情報共有によって、話し合いが円滑に進み、効率よく引き継ぎができるという。介護認定情報も記載されているため、「在宅におけるチーム医療の質が上がった」と関係者は口をそろえる。

「今までは患者宅の連絡帳やファクス、電話などで情報のやり取りをしていました。現在は、実際に訪問しなくても、状況を確認してチーム連携することが可能となりました」

例えば県立中央病院では、がん患者に対する在宅PCA(自己調節鎮痛法)に、積極的に取り組んでいる。

「地域包括ケアを進めていくからには、患者さんが最期を過ごしたい場所で、生活してもらうことが必要です。末期のがん患者さんの場合、病院では医療用の麻薬や酸素投与は当たり前になっていますが、在宅では扱える医師と薬局がネックで、ほとんど普及していませんでした」

その普及を促したのがまめネットである。

「この2年間の在宅におけるPCAポンプの使用例は40件、うち8割が最期まで自宅で過ごせました。ポンプの交換なども、まめネットを使えばリアルタイムで訪問看護師から残量の報告が届くので、より迅速に対応することができます」


退院後の様子も分かる
医師のモチベーションも向上

急性期病院にとっては、これまで見えにくかった在宅の様子が分かるようになるというメリットもある。

急性期病院で働く医師や看護師には、在宅医療の経験者はあまり多くないため、在宅復帰させることについて「漠然とした不安」がつきまとうという。

急性期や回復期など病院間での役割分担が増える中、どうしても「転院」がゴールになりがちになる。そのような状況において、本来帰るべき場所に返すというゴールを共通認識にするために、まめネットは強力なツールになると今田氏は考えている。

「これまでは、患者から『家に帰れますか』と聞かれて、すぐに判断はできませんでした。ですがまめネットによる連携が進んでからは、どのような状態であっても、『帰れますよ』と自信を持って答えられるようになりました」

病院にいては分かりにくい在宅復帰後の様子を把握できるのも強み。

「わざわざ様子をレポートするということになると負担になってしまいますが、まめネットで在宅チームが患者の様子を写真1枚でもアップしてくれるだけで、効果は絶大です」

患者が家族に囲まれている様子、歯ブラシで口腔ケアを受ける様子など写真は何でもいい。そうした写真を見た時の病院の医師や看護師からの反響は大きく、「この人がここに帰るために自分たちは頑張った」とモチベーション向上にもつながっている。

※こちらの記事は、ドクターズマガジン2017年10月号から転載しています。

まめネットに関するご質問・お問い合わせは〒693-0023 島根県出雲市塩治有原町2-19-3
NPO法人しまね医療情報ネットワーク協会
TEL:0853-22-8058
FAX:0853-22-8099
http://www.shimane-inet.jp


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