医師のワークスタイル

医師として海外留学を目指したきっかけ(1)

消化器内科医 秋山慎太郎。IBDフェローとしてアメリカ挑戦 研究と臨床の両立

日本で9年、消化器内科医としてキャリアを積んでこられた秋山慎太郎先生が、次なる挑戦の舞台として選んだ先はアメリカ。2018年にシカゴ大学のポスドクとして渡米し、2019年7月から同大学のIBDフェローとしてIBD(炎症性腸疾患:潰瘍性大腸炎やクローン病)の研究と臨床に従事。USMLEの勉強法から留学準備、現地での様子まで、留学したい医師の皆さんにとって役立つ情報をお伝えします。

「IBDフェローとしてアメリカ挑戦 研究と臨床の両立」


医師の道を歩むまで

学生時代から「医学を通じて社会に貢献したい」という気持ちがあり、医師の道を志しましたが、当時の私には医学部入学のハードルは高く厳しかったため、「医療機器を作って社会に貢献しよう」と考えを改め、電気通信大学量子物質工学部へ進みました。

そこで生物、数学、物理など一通りの分野を学び、中でも特に分子生物学に興味を持ったため、卒業後は京都大学大学院理学研究科へ進学。すると思いのほか医学との接点が多く、学生時代から抱いていた「医学を通じて社会に貢献したい」という気持ちが再燃、在学中に再び医師の道を目指すことになりました。

幸いにも、弘前大学医学部に学士編入ができました。弘前大学はモチベーションの高い学生が多く、勉強に集中できる環境にも恵まれており、とにかく入学当初から勉学に励んでいた記憶があります。

医師になるまでには紆余曲折ありましたが、28歳で医師としてのスタートラインに。少し遠回りをしたようにも思えますが、大学や大学院での研究などの経験が、論文発表や今回の海外留学に活かされていると感じています。


海外を目指すようになったきっかけ

私が海外を目指すようになったきっかけは3つあります。

1つ目は、京都大学大学院在学中に受講した英会話の講座です。
京都大学では「グローバルCOEプログラム」の一環として大学院生が英会話講座に参加できる環境を提供しており、これが、私の“英語は受験勉強のためにする”というそれまでの概念を根本から変えてくれました。外国人とのコミュニケーションが上達するにつれ自信もつき、いつしか、将来働く分野において「海外」を視野に入れるようになりました。

2つ目は、環境です。
弘前大学はいい意味で勉強だけに集中できる環境があり、自分の好きなことに思う存分打ち込める時間を持てました。そこで出会ったのが妻であり、その妻が勉強していたUSMLE問題集を一緒に勉強したことがきっかけで、「これを取得しよう」と決めました。次回のUSMLE勉強法で詳しく説明しますが、私は医学部在学中にUSMLE Step 1と2 CKにパスしました。環境というか、妻のおかげですね。

3つ目は、同期の存在です。
私は虎の門病院で初期研修を行いましたが、当時20名ほどいた同期のうち数名がUSMLE Step 1を取得していました。身近に海外を目指す先輩や同期がいたことはとても刺激になりました。また、海外で医師として働くための情報も多く得られました。今振り返っても、よい仲間に恵まれたと感じています。


海外を目指している皆さんへ

海外イメージ

多くの方がそうであるように、私も海外留学をするにあたり、多くの留学体験記を読みました。今やインターネットで「医師×海外留学」と検索すれば臨床留学の体験報告はたくさん出てきますので、留学体験記自体はそれほど珍しいものではありませんが、そうした中でも私が愛読していたのは、北原大翔先生の「週刊北原」です。その経験には厚みと広がりがあり、毎回、次号が待ち遠しいほど面白く、読みごたえのあるものでした。

一方、私自身の経験はそれほど面白みがあるとは思えず、留学が決まった当初は体験記を書くなど考えもしていませんでした。しかし、今回ここで記事を書こうと思った理由は、日本で消化器内科をトレーニングされた先生が、今後IBDフェローに挑戦したいと思った時に、そうできる環境を作りたいと思ったからです。

米国でレジデントから始めてフェロー、そして米国専門医取得を目指すといった米国でのキャリア形成とは異なり、日本で専門性を高めた消化器内科医がIBDや肝臓、栄養学分野などの超専門フェローとして米国留学し、知識や技術を日本に持ち帰るというスタンスは、留学として有意義ではなかろうかと思っています。

また、臨床留学というと臨床スキルや手技の腕を磨くイメージが先行しがちですが、IBDフェローでは研究に専念できる時間が担保されており、私のように日本で研究経験のある医師にとっても良い環境が整っています。

参考までに、臨床留学を目指す先生のバイブルは下記の2つになると思います。

海外医学留学のすべて
島田 悠一/日本医事新報社

NYのべス・イスラエル病院の内科レジデントとして留学した方たちが書かれたものです。内科系の臨床留学体験記が豊富に盛り込まれています。

「アメリカ臨床留学への道」
佐藤隆美 中川伸生/南山堂

米国の医療・研修制度やUSMLEの準備から各科のレジデント・フェローでの体験談など、多くの著者が協力して書き上げていることが特徴です。

次回からはUSMLE勉強法、留学への始動する際の準備、そしてIBDフェローについて連載していきます。微力ながら臨床留学を目指す先生の力になれればと思っています。お付き合いください。


医師として働きながらも、海外で勉強してみたい。
そのような強い思いをお持ちの先生は、ぜひ弊社「民間医局」にご相談ください。医師の海外留学を推進し、積極的にサポートを行っている医療機関や企業などもご紹介しています。海外留学に関する情報をメールマガジンにてお届けしております。
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<プロフィール>

秋山 慎太郎

秋山 慎太郎(あきやま・しんたろう)

2000年4月- 電気通信大学量子物質工学科入学(工学学士)
2004年4月- 京都大学大学院理学研究科生物科学専攻(理学修士)
2006年4月- 弘前大学医学部医学科(3年時へ学士編入)
2010年4月- 虎の門病院内科研修開始
2014年4月- 東京医科歯科大学消化器内科入局
同年- 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科に入学(医学博士)
2018年4月- 東京医科歯科大学消化器内特任助教
2018年11月- 渡米
2018年12月- シカゴ大学Postdoctoral scholar
2019年7月- シカゴ大学advanced IBD fellowship


「IBDフェローとしてアメリカ挑戦 研究と臨床の両立」


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