海外

米国留学に向けて始動(3)

消化器内科医 秋山 慎太郎。IBDフェローとしてアメリカ挑戦 研究と臨床の両立

2019年7月からシカゴ大学のIBDフェローとしてIBD(炎症性腸疾患:潰瘍性大腸炎やクローン病)の研究と臨床に従事されている消化器内科医・秋山 慎太郎先生がお届けする、米国留学までの準備と現在。

「IBDフェローとしてアメリカ挑戦 研究と臨床の両立」


留学オファーの獲得

留学に向けて一番重要なことは、「オファーをもらうこと」です。

研究留学なら米国のラボまたは病院に勤務している研究者から、臨床留学ならば希望するプログラムのディレクターから、オファーレターをもらうことから始まります。オファー獲得には、現在医局に所属している方であれば教授や先輩のツテが活きてくる場合もあるでしょうし、ツテがない場合は、国際学会などに参加して、希望する留学先の先生に自らアピールする必要があるでしょう。

私の場合、教授や医局の先生方の大きな支えが基盤となり、さらに自分でも積極的に行動したことで、IBDフェローのオファーを獲得できたと思っています。今思い返すと、非常に運が良かったと思われることが3つありました。

1つ目は、留学を希望していたシカゴ大学IBDセンターで活躍され、重要なポディションを占めるスタッフに日本人医師がいたことです。
私の場合、渡米前の複雑怪奇な事務手続きを始め、渡米後も研究や仕事の事、将来のことや生活に至るまで親身に相談に乗っていただきました。また、シカゴ大学でどのような実績を目標にしたらよいかという、大変重要なことも先生のアドバイスにより形作ることができました。今の自分が留学できたのは、先生のお力添えなしにはあり得ませんでした。

2つ目は、その後上海の国際学会でシカゴ大学IBDフェローのプログラムディレクターと出会ったことです。
すかさずその場で「フェローシップに興味がある」と直接伝えたところ、たまたまフェローに空きがでていたようで、上海から帰国後すぐ準備をしてアプライ。これがIBDフェローのポジション獲得へと繋がりました。

3つ目は、推薦状を米国IBD専門医に書いてもらったことです。
シカゴ大学IBDフェローシップ申請では、推薦状が3通必要でした。そのうちの1通は米国IBD専門医に依頼することができました。この先生が来日したときに症例をプレゼンする機会に恵まれ、その後もコンタクトをとり続けて「もし機会があれば推薦状を記載していただけないか」と依頼していました。ここでも運が良いことに、この先生とシカゴ大学のプログラムディレクターは友人関係にあったため、推薦状がポジティブに働いたのかもしれません。

このオファー獲得までに、医学部学士編入、USMLE受験、消化器内科研修、各種日本の専門医取得、医学博士とさまざまなステップを経験しました。いずれのステップでも、留学へのモチベーションを維持し続け、つらい時でも準備を怠らずにいました。「幸運は用意された心のみに宿る」という有名な言葉がありますが、まさにその通りだと思いました。


留学助成金について

留学でポジションを獲得する際に重要となるのが「CV」です。特に研究留学の場合は、言うまでもなく研究テーマや研究経験が大切です。大学院での研究業績(論文数やインパクトファクター)なども考慮されると思います。また、留学助成金を日本で獲得していると資金面での強みをアピールできます。

日本の留学助成金では、「留学して研究する意義」「留学先でどのような研究計画を実施するか」などを申請書に細かく記載する必要があります。競争率が高く、業績の高い方が選ばれることが多いですが、業績だけでなく、自分が留学先で行う研究を明確に計画し、分かりやすい企画書を作成してアピールする方法もあります。留学前から留学先と綿密な計画を立てるのは難しいかもしれませんが、とても大切な工程だと思います。

››› 海外留学の奨学金・助成金一覧


オファー獲得後のVISA申請

VISA申請

留学先から正式なオファーレターが得られた後は、VISAの申請に移行しました。必要書類の中で最も重要なのが「DS-2019」。これはビザの申請者が米国政府に承認されている交流プログラムへの参加者であることを証明する公的な書類です。DS-2019が届くまでに数ヶ月かかることもあるようなので、発行先とは慎重に交渉する必要があると思います。

ECFMGにDS 2019発行を依頼する場合、下記2つの書類に留意する必要があります。

1. Statement of Educational Objectives

フェローシップ後に日本でどのような活動をするかをA4用紙1枚に英文で記載

2. Statement of Need

厚生労働省が発行する政府証明書という書類。申請書と下記書類を厚労省に提出。

  • 申請書(様式4で日本の所属施設長のサインが必要)
  • ECFMG certificateのコピー
  • オファーレター(自分で日本語に翻訳したものも添付)
  • 日本の医師免許証のコピー
  • 委任状(必要であれば)
  • 封筒など

「J1」 VISA申請に必要な書類

DS 2019の情報をもとに、アメリカ大使館のwebsiteでVISA申請を行い、下記3つの書類を印刷します。(申請時に中学校時代からの学歴や過去の渡米履歴を入力する必要があるので、よく確認してから入力した方がよいです)

a. DS160
b. SEVIS費用確認書(I-901)
c. 面接予約確認書

他に大使館面接に持参する書類(参考まで)
  • DS2019(署名を忘れずに)
  • 顔写真(メガネは着用不可なので注意)
  • パスポート(期限に注意、古いパスポートも持参)
  • 出身大学の卒業証書、成績証明書(英文)
  • 出身大学大学院の修了証書、成績証明書(英文)
  • 戸籍謄本(自分で翻訳。特に家族でVISA申請する場合は必須)
  • 留学先からのオファーレター
  • 銀行の残高証明書(英文)、CVなど申請者の状況に応じて必要となる書類


その他、参考にしたサイトなど

イリノイ州医師免許(Temporary Medical Permit)の申請書類
  • 申請書(学歴、職歴を詳細に記載する。)
  • ECFMG certificate
  • 出身大学の卒業証明書、成績証明書(英文)
  • 出身大学大学院の修了証明書、成績証明書(英文)
  • 医学生時代のクリニカルクラークシップの証明(ED-NON form:弘前大学に依頼。内科、外科、産婦人科、小児科、精神科を各4週間以上ローテーションしていることを証明する必要がある。精神科は例外あり)
  • 日本医師免許を保有していることの証明 (CT form、厚労省に依頼)
  • 申請料(US$230、CheckまたはMoney orderとして)など

英語(TOEFL、IELTSなど)

最近では、研究留学であってもTOEFLやIELTSなどの英語試験のスコアを要求する大学もあります。シカゴ大学は大学独自の英語試験を受ける必要がありました。オンライン英会話のように試験官とマンツーマンで20-30分程度英語で話し、会話力が試される試験でした。

その他
  • 保険
    Blue Cross Blue Shield(BCBS)
    健康保険に関しては、始業日から30日以内に加入するようにと、大学から案内があり、BCBSのいくつかのプランを紹介されました。私と家族は、BCBSのPPO standard planに入っています。“歯”と“目”については、この保険ではカバーされていません。私の場合、子供のことも考えて、他社のDental PPO Planに追加で加入しました。
  • 現地での物件探し
    Craigslist
  • 書籍
    ただいま留学準備中 医師が知るべき留学へのコンパス / 南江堂

次回(第4話)は、フェローとして研究と臨床を両立することの意義というかなり需要なテーマを扱いたいと考えています。留学後の体験については、第5話以降にお伝えする予定です。

<プロフィール>

秋山 慎太郎

秋山 慎太郎(あきやま・しんたろう)

2000年4月- 電気通信大学量子物質工学科入学(工学学士)
2004年4月- 京都大学大学院理学研究科生物科学専攻(理学修士)
2006年4月- 弘前大学医学部医学科(3年時へ学士編入)
2010年4月- 虎の門病院内科研修開始
2014年4月- 東京医科歯科大学消化器内科入局
同年- 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科に入学(医学博士)
2018年4月- 東京医科歯科大学消化器内特任助教
2018年11月- 渡米
2018年12月- シカゴ大学Postdoctoral scholar
2019年7月- シカゴ大学advanced IBD fellowship


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