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ワークライフバランスの実現~国家公務員の医師の場合

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ワークライフバランスの実現~国家公務員の医師の場合


国家公務員である医師の現状

医師資格を有しながら国家公務員として勤務している人たちがいます。従来、その代表格は国立病院の医師でした。2004(平成16)年に独立行政法人化された後も身分は国家公務員でしたが、2015(平成27)年4月1日から非公務員となり、旧国立高度医療センター(いわゆるナショナルセンター)も、2010(平成22)年4月1日からは、非公務員型の独立行政法人にそれぞれ移行しました。
この結果、現在、臨床を行う国家公務員の医師は、

  • 国立ハンセン病療養所の医官
  • 国立障害者リハビリテーションセンターの医官
  • 在外公館の駐在医官
  • 矯正医官(刑務所等の医師)
  • 防衛医官

などとなりました。このほか、臨床を行わない国家公務員として、厚生労働省の医系技官や検疫所の医官などがいます。

特別職で自衛官でもある防衛医官は定員1,200人ほどですが、一般職で臨床を行う医官は、矯正医官が約330人、ハンセン病療養所医官が約140人、在外公館の駐在医官が約100人となっており、矯正医官が最も多数を占めていることになります。

安定した身分と充実した福利厚生

一般職の国家公務員は、国家公務員法が適用されます。国家公務員法第75条には、

(身分保障)
第75条 職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。

と規定されており、安定した身分が保障されています。

また、国家公務員共済組合に加入することとなり、病気、負傷に関連した給付を受けることができるほか、厚生年金制度の適用を受けることができます。
このほか、国家公務員用の宿舎が整備されており、希望すれば公務員宿舎の貸与を受けることが可能です。従前に比べると宿舎費は値上がり傾向にありますが、矯正医官が刑務所等に隣接する宿舎に入居する場合は無料になるといった特例もあります。

給与の仕組み

国家公務員の給与は、法律(一般職の職員の給与に関する法律)に基づいて定められています。給与は、職員の職務の複雑、困難及び責任の度合いに基づいて決められる俸給と、これを補完する諸手当から構成されています。昇給やボーナス(勤勉手当)には、人事評価の結果が反映されます。

臨床医療に従事する医官に適用されるのは、医療職俸給表(一)であり、一般行政職よりも高い水準の俸給が定められています。そして、医療職俸給表(一)には1級から5級までの区分があり、例えば、2級は「医療機関の診療科長の職務」、4級であれば「医療機関の長又は医療機関の困難な業務を処理する副院長の職務」というように、役職に応じた級が適用され、級が上がるごとに給与は高くなっていきます。

支給される諸手当には、

  • 俸給の特別調整額(いわゆる管理職手当)
  • 初任給調整手当
  • 扶養手当
  • 地域手当
  • 住居手当
  • 通勤手当
  • 単身赴任手当
  • 超過勤務手当

などがあります。

「俸給の特別調整額」(管理職手当)が支給されるのは、原則として課長級以上の幹部職員であり、この場合は、超過勤務手当は支給されません。

「地域手当」は、地域ごとの物価等を考慮して支給される手当であり、物価の高い東京23区の1級地(俸給等の100分の20を乗じた額が支給)から7級地(100分の3を乗じた額が支給)まで定められています。医官については特例があり、東京23区は1級地相当(100分の20)、それ以外全ての都道府県は2級地相当(100分の16)の手当が支給される優遇措置がとられています。

医官について、最も特筆すべき手当が「初任給調整手当」です。これは、採用による欠員の補充が困難であると認められる官職に支給される手当で、医官であれば、最大で月額41万3,300円が支給されます。実際の支給額は細かく定められていますので詳細は割愛しますが、本手当によって民間との給与格差がかなり是正されています。

実際の年収は、各人の経験やポストによって大きく異なりますが、矯正医官について、2014(平成26)年の平均年収が約1,300万円というデータがあります。

なお、国家公務員が兼業(アルバイト)をすることは、法律によって禁止されていますが、2015(平成27)年12月1日から施行された「矯正医官の兼業の特例等に関する法律」によって、矯正医官については、勤務時間外だけでなく、勤務時間内(平日昼間)であっても、所定の手続を経れば兼業が認められることになりました(勤務時間中に兼業する場合は、その分の国からの給与は減額されます)。民間医療機関で働いて、国からの給与以外の収入を得ている矯正医官は少なくありません。

勤務時間及び休暇

国家公務員の勤務時間や休暇も、法律(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律)によって定められています。

常勤職員の1週間の勤務時間は、休憩時間を除き38時間45分です。そして、月曜日から金曜日までの5日間において、1日につき7時間45分の勤務時間を割り振るものとされています。通常は、午前8時30分から午後5時まで(うち午後零時から午後1時までが休憩時間)といった勤務時間が割り振られます。

このほか、病院での勤務であれば、夜間や休日に当直を命じられることがあります。当直勤務は勤務時間にカウントされません。その代わりに、1当直当たり2万円の手当が支給されます。

上記の勤務時間は、通常のパターンですが、いわゆるフレックスタイムを選択することも可能であり、この場合は、1日に割り振る勤務時間を長くしたり短くしたりすることが可能になります。すなわち、本来1日7時間45分の勤務であるところ、これを月曜日は6時間、火曜日は9時間にしたりして、トータルで所要の時間数(1週間であれば38時間45分)勤務すればよいということになります。

特に矯正医官の場合、刑務所外での調査研究を目的とする勤務(施設外勤務)が認められていることから、大学や研究機関等での調査研究をしやすい勤務環境とするため、より柔軟なフレックスタイムが認められており、1日の勤務時間を2時間にまで短縮することが可能な制度となっています。

休暇については、次のような休暇が法律で定められています。

  • 年次休暇
  • 病気休暇
  • 特別休暇
  • 介護休暇

年次休暇は、1年ごとに20日間で、最大20日を翌年に繰り越すことができます。

病気休暇は、職員が負傷又は疾病のため療養する必要があり、勤務しないことがやむを得ないと認められる場合の休暇です。例えば、がんに罹患したような場合でも、安心して休暇をとることができますし、休職の制度を併せて活用すれば、直ちに身分を失うことはありません。

特別休暇には、夏季休暇・結婚休暇・産前産後休暇・忌引休暇・ボランティア休暇などがあります。

ワークライフバランスの推進

まとめ

現在、政府を挙げて女性活躍・ワークライフバランス推進に向けた取組が行われています。民間をリードする立場から、政府では、女性国家公務員の採用をより一層拡大するとともに、積極的な登用を推進しており、男女問わず職員が働きやすい職場を目指した環境整備が進められています。

例えば、仕事と育児の両立のための主な支援制度については、次のようなものがあります。(出典:内閣人事局HP)

仕事と育児両立のための主な支援制度

育児や介護中の医師はもとより家族との時間や自分の時間を大切にしたい医師にとって、国家公務員の勤務条件は、非常に魅力的なものではないでしょうか。

<参考資料>

最終更新(2017/08/18)


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<執筆者>

法務省矯正局矯正医療企画官
西岡 慎介

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