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[医院開業の基礎知識] ー開業場所の選定と診療圏調査ー

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開業の成功・不成功は、今まで多くの開業支援の実績や実例を見てきた経験から、開業場所によって決まると言っても過言ではありません。無論、診療サービスの良否も大事ですが、開業場所選定が悪かったら、それを十分に生かせません。それほど、開業場所は重要になります。さらに、その基となる診療圏調査は詳細に行う必要があります。最近は、診療圏調査をパソコンソフトを使い、それを基に開業したために失敗をしている施設も見受けられます。この例は、後日公開する記事でお伝えします。

<お話しを伺った方>

福井 重雄さん

テナントアシスト・ウイン株式会社

代表取締役 福井 重雄さん

[プロフィール]
NECメディカル在籍中に旧住友銀行と提携して、平成6年から新規開業コンサルタント業を開始。平成11年、会社の譲渡に伴い不動産業の免許を取得して、成功する開業支援をコンセプトに独立し、開業場所選定から開業後の支援までを行っている。独自の診療圏調査と不動産ノウハウにより、成功すると思われる場所以外は紹介しない。現在まで、154件(新規開業130件)の豊富な開業支援実績があり、経営不振な施設からの相談も多い。


開業場所の選定はなぜ、重要か?

ズバリ言うと、開業の成否を決める基礎的な条件だからです。開業場所を間違えると、後戻りは難しくなります。この場所選定に重要な役割を果たすのが、診療圏調査になります。孫子の兵法に「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」という言葉があります。

診療圏調査は、医療戦略・戦術を決める資料と同時に、事業計画書作成の資料にもなります。どういうことかというと、候補地周辺の競合施設がどのような状況かを把握して、それに対抗する医療戦略・戦術を立てるからです。また、診療圏調査は事業計画書で収入額を算定する場合、外来患者数を何人見込むかという資料にもなります。通常、事業計画書は5年から10年の収支予想を計算しますが、この時に大事な事の一つが、外来患者数を何人見込むかと言うことです。これを適当に見込むと、開業してから運転資金不足に陥る可能性もあるので、診療圏調査はここでも重要になります。

私は、これまで開業して3年経過しても黒字にならない施設を同じ年に2施設、移転させたことがあります。これは、診療圏調査が不十分だったことが原因でした。そこで、詳細な診療圏調査を実施し、移転を手伝いました。結果として移転後は、2施設とも半年以内に月間で黒字になりました。

診療圏地図 ※クリックするとPDFで表示。詳細を確認できます。
診療圏調査
参考:『旺文社・スーパーマップル』より


開業場所策定の3つのポイント

開業場所策定の3つのポイントとして「① 物件情報の収集の効率化」「② 物件のチェック」「③ 診療圏調査」となります。

① 物件情報の収集の効率化」について、まずは、候補となるエリアを決め、その中で開業の基本構想をベースにした諸条件(立地、面積、賃料等)を基に情報を収集をします。

医療専門に物件を取り扱っている会社に依頼すると、開業に適した物件を選定してくれるので手間が省けます。最近は、インターネットにも物件情報が出ていますが、おとり広告まがいの物件広告もありますので、特に注意が必要です。

続いて「② 物件のチェック」の段階では、物件資料を入手し、実際に物件を確認するために自分の足で現地の外観をチェックしてください。内部を見学する場合は、設計士や内装会社などの専門家も同行してもらい、電気系統や排水管等のチェックも行います。これは、契約後に建築や内装工事でのトラブルを防止するためです。なお、「③ 診療圏調査」については、次の項目で詳しく説明します。

推定外来数 ※クリックするとPDFで表示。詳細を確認できます。
推定外来数
参考:『厚生労働省「患者調査」』、『さいたま市役所・住民基本台帳』より


診療圏調査の手順について

診療圏調査を行わずに開業場所(物件)を決定することは、まずあり得ません。なぜなら、開業に適した場所かどうかを調査した上で、医業戦略を策定し、初めて前に進めるからです。それには、精度の高い調査が必要です。

まず、手順としては「① おおよその診療圏の設定」をします。診療圏とは、自院に患者さんが来ると認められる地理的な範囲のことをいいます。診療圏の設定は、各種の要素や条件を加味して決める必要があります。単純に、自院を中心に半径1kmとか2kmと決めることは間違いです。その開業場所(物件)の地理的状況(川、丘陵、湖等、診療圏分断要因)、社会的環境(道路、鉄道、建物等)を考えて決める必要があります。

そして、その診療圏内の「② 競合施設の抽出」をした後に「③ 候補地人口の計算」を行います。その後「④ 受療率表から自分が診療する項目の抽出」を行い「⑤ 1日の推定患者数の計算」を行います。この結果を見て「⑥ 診療圏と思われる周囲の住民からの聞き取り調査」を実施します。

これらのデータを総合的に判断し、開業場所の適否を決定します。聞き取り調査については、この例は、後日公開する記事で説明します。


診療圏調査をする上での注意するべき点とは

診療圏調査は、一般の企業が行う、いわゆる市場調査と言われるものです。考え方の基本は、同じですが、この場所で医院経営ができるかについて、その地理的状況や競合施設、人口動態を調査し、1日の推定外来数を計測します。調査結果は、事業計画の策定や金融機関の融資の可否等の判断にも大きく関わってきますので、もっとも重要な資料となります。

現在、診療圏調査はほとんどの会社がパソコンソフトを利用して調査していますが、人口データが古く、受療率のデータが先生方の開業スタイルに合っていない等の理由により、その正確性および適格性に大きな問題があり、市場調査書としては利用に適していないと考えられます。

診療圏調査は、聞き取り調査といって、実際に診療圏周辺を車や自転車、徒歩などで、地域住民から競合施設の評判やどこの施設に通院しているか等の現状をヒアリングします。しかし、聞き取り調査は非常に重要な調査にも関わらず、行っている調査書はほとんどないのが実状です。これを行う事により、競合施設の状況が把握できるので、医業戦略や戦術の策定で競合施設との差別化を図ることができます。精度の高い診療圏調査を行うために、実績のある会社へ依頼することが、開業の成功の重要なポイントとなります。

推定外来数算出表 ※クリックするとPDFで表示。詳細を確認できます。
推定外来数算出表
参考:『厚生労働省「患者調査」』、『さいたま市役所・住民基本台帳』より


開業場所(物件)の選定は、開業準備のいわばベースになるものです。従って、適正な情報をより多く集め、それを精査し、総合的に判断する必要があります。その際、経験則がものを言うため、経験豊富な支援者の協力を得ることが合理的だと考えます。
さらに、この開業場所選定の成否を決定づけるのが、診療圏調査です。この診療圏調査もパソコンソフトで作成した調査書を妄信するのではなく、最新の人口データを利用し、先生の診療スタイルに合った受療率から1日の推定外来数を計算していきます。そして、これらの判断は医業理念や事業計画等から総合的に行うため、適切な支援者の助けを得て、慎重に判断することが求められます。

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