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[医院開業の基礎知識] ー開業準備における事業計画書策定の目的ー

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事業計画書策定の目的の一つは、診療所(医院、クリニック)の開業場所や診療科目等を明確化し、そして床面積や不動産取得費、内装工事費、医療機器、什器備品、従業員数、広告宣伝費、雑費、運転資金等を合計して総事業費を表にし、事業の採算性、安全性、成長性を確認することです。
これにより開業のイメージがより具体的になり、開業準備が進めやすくなります。もう一つは、金融機関等から資金調達を行う場合の資料に使用するためです。

<お話しを伺った方>

福井 重雄さん

テナントアシスト・ウイン株式会社

代表取締役 福井 重雄さん

[プロフィール]
NECメディカル在籍中に旧住友銀行と提携して、平成6年から新規開業コンサルタント業を開始。平成11年、会社の譲渡に伴い不動産業の免許を取得して、成功する開業支援をコンセプトに独立し、開業場所選定から開業後の支援までを行っている。独自の診療圏調査と不動産ノウハウにより、成功すると思われる場所以外は紹介しない。現在まで、154件(新規開業130件)の豊富な開業支援実績があり、経営不振な施設からの相談も多い。


事業計画書の役割

事業計画書は開業に必要な総事業費を概算で計算し、これを資金調達や減価償却、人件費、経費明細、収入明細、年度別損益計算(5年から10年)、初年度損益計算(1カ月単位に区分)の各項目に細分化して計算します。

そして、これらの数字から損益分岐点(1日外来数)を計算し、診療圏調査で計算された1日推定外来数と比較し、損益分岐点(1日外来数)が1日推定外来数の70%以下になっているかを確認します。

なぜ比較するかというと、損益分岐点(1日外来数)が調査した1日推定外来数を上回ると、事業収支が赤字になりますので、これでは事業として存続できなくなります。損益分岐点(1日外来数)が1日推定外来数を上回った場合は、開業場所としては良いとは言えないので、事業計画書の総事業費の見直しと診療圏調査の再調査をします。この損益分岐点(1日外来数)の計算は、開業の成否につながりますので、必ず行ってください。

また、事業計画書は金融機関等から資金調達を行う場合の必須の資料となるので、その点でも重要な書類です。
※ここでいう損益分岐点は、1日の外来数が何人いれば収入と費用の差がゼロになるかと言うことです。

事業計画書、資金調達の参考資料 ※クリックするとPDFで表示。詳細を確認できます。
事業計画書、資金調達の参考資料
参考:『テナントアシスト・ウイン株式会社 作成資料』より


事業計画書作成のポイント「① 総事業費」「② 資金調達」

事業計画書は、「① 総事業費」「② 資金調達」「③ 減価償却」「④ 人件費明細」「⑤ 収入明細」「⑥ 経費明細」「⑦ 年度別損益計算」「⑧ 初年度損益計算」「⑨ 借入利息計算」の各項目を表にします。

① 総事業費」は、不動産購入費や不動産賃貸借費用、建築費や内装費、医療機器購入費、什器備品費、広告宣伝費、その他の雑費、予備費等の各々を計算し合計します。これらの数字は、予算案なので、概算の金額を計算します。

② 資金調達」は、自己資金を決定し、概算総事業費から差し引いた額が借入金額となります。借入で注意しなければならない点は、貸出金を固定金利にするか変動金利にするかです。

固定金利の利点は、市場金利が上昇しても貸出金利はそのままです。欠点は、その逆となります。また、金融機関にもよりますが、途中で繰り上げ返済を行う場合は、ペナルティーとして返済額の数%を違約金として取られる場合が有りますので、注意が必要です。

変動金利の利点は、市場金利が下がるとすると貸出金利も下がります。欠点はその逆となります。変動金利は金融機関にもよりますが、途中で繰り上げ返済を行う場合は、ペナルティーが無いようです。

資金調達は、追加融資が難しい場合があるので、少し多めに借りてください。


事業計画書作成のポイント 「③ 減価償却」「④ 人件費」「⑤ 収入」「⑥ 経費」

③ 減価償却」は、建物の建築費、内装工事費、設備費、医療機器費用、什器備品費用等を計算し、これに償却率を掛けて減価償却費を出します。これは、損益計算書上では経費扱いになりますが、実際には資金が出て行かないので、借入金返済の原資や内部留保の資金となります。

④ 人件費」は、医師や看護師、事務員等を常勤、非常勤に分けて、各人数に月額の給与額を掛けて人件費を計算し、この人件費に間接人件費と賞与を加えて総人件費を出します。人件費は、固定費として経費の中で大きなウエートを占めますので、常勤職員と非常勤職員の採用をうまく組み合わせる必要があります。

⑤ 収入の計算」は、診療圏調査で計算された1日外来数を参考にして、1日患者数に診療日数を掛けて、この数字に診療単価を掛けると保険の外来収入が計算されます。その他に、自費がありますので概算の金額を計算して、外来収入と併せた金額が総収入となります。

⑥ 経費」は、医療材料費や家賃、リース料、支払利息、交通費、その他、多くの経費項目があるため、これらの項目を全てリストアップして計算することは難しいので、支出の多い項目だけをリストアップし、残りはその他の経費にまとめて計算する事をお勧めします。


事業計画書作成のポイント 「⑦ 年度別損益計算」「⑧ 初年度損益計算」「⑨ 借入利息計算」

⑦ 年度別損益計算」は、5年から10年に分けて計算します。計算方法は、これまで計算した収入と経費を年度別に分けて計算し、収入から経費を差し引いて、税引き前の利益を計算します。この数字に税率を掛けて税金を差し引くと、税引き後の利益が出ます。そして、この数字に減価償却費を加えると返済財源が出ます。この数字から、借入金を差し引いた額が初年度の収入となります。年度別損益計算は、収入項目を少なめに設定し、費用項目は多めに設定してください。

⑧ 初年度損益計算」は、初年度を1ヵ月単位に区分して毎月の損益を計算します。これにより開業後、何ヵ月目に月間で黒字になるかが分かります。この計算書を利用して、できるだけ早く月間で黒字になるように事業計画を組み立てる事も必要です。

⑨ 借入利息計算」は、毎月の元金と利息の支払い状況を見るために作成します。借入金が多いほど、税引き後の利益からの支払いが多くなりますので、運転資金が少なくなります。
事業計画書は、税務会計の専門知識が不可欠なので、専門家である公認会計士や税理士にひな形を作成してもらい、専門家と共同で何度か修正を行いながら、現実に即した事業計画書を作成する必要があります。

年度別損益計算の参考資料 ※クリックするとPDFで表示。詳細を確認できます。
損益計算の参考資料
参考:『テナントアシスト・ウイン株式会社 作成資料』より


事業計画書の作成は、開業を進める上で重要な準備作業ですので、慎重に進める必要があります。事業計画書を作成する場合、収入を少なめに、経費は多めに計算する事をお勧めします。収入を多めに見て計算すると、実際の収入が少ない場合、運転資金が不足する場合があるので、注意が必要です。

この事業計画書は、内装工事や医療機器等、支出する金額が決定した都度、修正して予算状況を確認してください。これらの作成には専門知識が不可欠なので、公認会計士や税理士さんと共同で作成するのが良いでしょう。

この作成を行う事により財務諸表の見方が分かると同時に、開業後の資金計画、収入計画等を行う場合に役立ちますので、ぜひ作成に参加してください。

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